にんじんスパ

※今まで食べたものについて、思い出すことを書こうと思います

大学の時、バイトで一緒だった2個上の人と付き合うことになった。
朴訥な感じで、不器用だったが表裏のない感じから、
誰からも慕われている人だった。
家族思いでよく実家に居る兄弟を心配していた。

自ら「マザコン」と言っていた彼はお母さんを癌で亡くしていた。
私は、お母さんがなくなって、彼が落ち込んでいるところに出会った。

私は、ほどなく大学にいかなくなり、
ほとんどの時間を彼の家で過ごすようになった。
このころ新発売された「爽健美茶」がおいしくておいしくて、
1日2リットル以上飲んで胃の調子を悪くした。

彼は適当になんでも作る人だったが、
スパゲティは「にんじんスパ」一種類しか作れなかった。
「おかんがよく作ってくれた」と、
彼は私にこのスパゲティのレシピを教えてくれた。

このスパゲティはひとことでいうなら「和風ミートソース」。
おもな味付けはしょうゆとみりん。そして、粗びきこしょう。

それに、すりおろしておいた生のにんじんをたっぷりと加える。
水分たっぷりの、鮮やかなオレンジ。
そのまま食べるとフルーツなんじゃないかという気がしてくる。

ひき肉とたまねぎ、えのきだけをいためて、味をつけた後、
彼の一番楽しみな時間がはじまる。
お気に入りの調味料を、少うしずつ加えるのだ。
カレー粉、七味とうがらしはなかでも必ず入れる。

いろいろあって、彼と別れた後も、
ときどきむしょうにあのスパゲティを食べたくなって、
私はにんじんをすりおろす。
ひき肉とたまねぎ、えのきだけをいためる。
カレー粉と七味を隠し味で入れる。

そして、にんじんをすりおろしている間。
そもそもにんじんは、彼の母親が肉が大好きな彼ら兄弟の体を
心配して入れたのだという事を思い出して、
その都度 涙をこぼす。

多分、普通の主婦だっであろうはずの彼の母親は、
にんじんスパの中に生きている。
肉ばっかり食べて栄養が偏らないようにと
わからないようににんじんをすりおろして入れた母は今も、彼の中に生きている。

そして、彼の母が亡くなって、彼と別れても、
彼女と会ったこともない私の中にもにんじんスパは生きている。

それだけで、人が生きていた意味って、十分ある気がする。

——————————–にんじんスパ
合いびき肉とみじん切りにしたたまねぎ・えのきだけを炒めて、にんじんのすりおろしを入れて炒める。みりん・しょうゆ・こしょうで味をつけた後、カレー粉・七味とうがらし…その他「入れるとおいしそう!」と思うものを少しずつ入れて、スパゲッティに乗せて完成。にんじんの味はほとんどしないけど、しょうゆとみりんの味に、カレー粉がちょっとコクを、七味がいい香りを出してておいしい。

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